東洋初の地下鉄として浅草~上野間で地下鉄が走り始めて87年、2004年4月1日に新たなスタートを切ってから、東京メトロは10周年を迎えました。この10年間本当に多くのお客様からご支援とご愛顧をいただいたことに、私たち一同、心から感謝を申し上げるとともに、これからも皆様に信頼され、選ばれ、愛される東京メトログループを目指し、新たな10年に向かって、「もっと うれしい 東京に」をテーマに様々なイベントを実施してまいりました。
この度実施いたしました「オープンデータ活用コンテスト」は、欧米を中心に一般化しつつあるオープンデータという考え方に基づき、我が国の鉄道事業者としては初の試みとして実施したアプリケーション開発コンテストです。これまで公開していなかったリアルタイムの列車運行情報や列車位置といった情報を、オープンデータという形で外部に提供し、お客様の生活がより便利でより快適になるようなアプリケーションを広く一般から募集したものです。
その結果、私たちにとって想定を上回る281もの作品のご応募をいただき、大変うれしい限りです。私たち鉄道事業者自らでは思いもつかないようなアプリケーションの応募も数多くあり、審査員一同悩みに悩んだ結果、合計16作品を入賞作品として選定いたしました。
今回寄せられた作品からは、沢山の方々のアプリケーション開発への情熱を感じるとともに、「東京をもっとよくしたい」という気持ちや当社への応援メッセージを強く感じ、より優れたサービスの可能性を実感するコンテストとなりました。
2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を受けまして、昨年、当社では「東京の魅力」と、「東京メトロの魅力(安心)」の発信をテーマに、「東京メトロ“魅力発信”プロジェクト」を策定いたしました。
今後も、このような取組を通じて、すべてのお客様に『安心』してご利用いただける地下鉄を目指し、様々な施策に取り組んでいく所存です。引き続き、皆様方のご支援、ご愛顧をいただきますようお願い申し上げます。
東京地下鉄株式会社 代表取締役社長
奥 義光
審査員長 | 坂村 健 | 東京大学大学院情報学環教授/YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長 |
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審査員 | 岡本 伸之 | 立教大学名誉教授 |
竹沢 えり子 | 銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会事務局長 | |
入江 健二 | 東京地下鉄株式会社 常務取締役・鉄道本部長 | |
村尾 公一 | 東京地下鉄株式会社 常務取締役 |
坂村 健 氏(審査員長)
東京大学大学院情報学環教授/YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長
今回のコンテストで初めて東京メトロ全線の在線位置情報が公開され、このデータを使った新たなサービスが多数提案されていた。
「遅延予報 東京メトロ版」や「もしもアラーム」は、リアルタイム在線位置情報を単純に利用して表示するのみではなく、取得したデータから目的地までの累積遅延を予測して到着予想時刻を表示する、遅延情報や天候といった状況に合わせ目覚ましのなりだすタイミングを早めるというように、遅延時のリアルタイムデータ利用に焦点をあわせたところを評価した。
「ココメトロ」も、列車在線位置情報も使っているが、それよりむしろ紙から離れてインタラクティブなタッチ画面になった新時代の時刻表・路線図というものを、ゼロからリデザインしようというコンセプトが興味深い。せっかくタッチ画面でも、時刻表は紙時代のまま表形式というのは思考停止だろう。
東京メトロを利用しやすいように情報を提供するというサービスの方向性について、現在の技術にはまだまだ思いもつかない可能性があると感じたコンテストであった。
岡本 伸之 氏
立教大学名誉教授
実際に東京メトロに乗る際に使ってみたい、と思わせるアプリがエントリーされていた印象だった。「Metronavi」のような列車の位置がわかり、出口の検索や駅施設情報が確認できるアプリは、これまで利用されていたアプリと比べて便利さを実感できる内容であった。
また、「四季電車」のように沿線の観光を促すようなアプリも興味深い。沿線の観光需要を創出するような仕掛けは今後ますます重要になる。今回のコンテストを通じて、オープンデータが革新的なサービスを生み出していく可能性を大いに感じることができた。今後、災害時に役立つアプリなどが生み出されていくことを期待したい。
竹沢 えり子 氏
銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会事務局長
東京メトロ10周年記念イベントにふさわしく、興味深い作品が多く投稿されていたと思う。オープンデータを活用し駅構内や地下鉄をより便利に使いこなすための機能の評価は当然だが、例えば「東京メトロエレベーター案内」は、発想が逆で、街から駅にアプローチするためのアプリとして評価できる。また、「うちカエル」のように、メトロのデータが家族の連絡であったり、発展して子供の見守りにも使えるようなアプリにも好印象がもてた。「地下鉄多言語MOD」のような多言語でわかりやすく情報提供を行うアプリも、今後需要が増加する外国人への情報提供という観点で重要であろう。「東京動脈 Flow-in」や「TOKYOTOKYO」はビジュアル的に優れ、楽しめる作品であった。
今後ますます多様化していくユーザーのニーズを的確に捉えていくことが期待されており、一般的な情報をふまえたうえで、必要な人に必要な情報が的確に伝わるアプリ(障害者支援のようなアプリもその一例)が充実していくことを期待したい。そのためにも、他の交通機関との連携がはかれれば、ユーザーにとってはよりいっそう便利となるだろう。
入江 健二 氏
東京地下鉄株式会社 常務取締役・鉄道本部長
東京メトロではお客様に向けた様々な情報提供を行っているが、今回のコンテストでは鉄道事業者が考えるサービスとは異なる視点でのサービスが多数提案されており興味深かった。
中でも「うちカエル」は、単に地下鉄をご利用になる方にとって有益なだけでなく、お子様が利用することにより防犯的な観点でも優れたアプリとなっているところが評価できる。
今後はこのような取組が進む中で、駅の情報案内装置などでご案内している情報を補完できるようなアプリが出てくると、より一層地下鉄をご利用になる方へのサービスが広がる可能性があるものと感じることができた。
村尾 公一 氏
東京地下鉄株式会社 常務取締役
鉄道事業者自らでは思いもつかないようなアプリの応募を期待していたが、期待どおり特色のあるアプリの応募が数多くあったことは大変喜ばしい。
特に「ココメトロ」は、現在は東京メトロの路線のみを対象としているが、他の鉄道事業者からもデータ提供があればさらに利便性が高まるといった、オープンデータの可能性を感じさせるアプリになっているところが良い。
また、東京が今後国際都市としてさらなる発展を遂げようとしている中で、多言語対応のアプリの応募が多くあったことも注目できる。「地下鉄多言語化MOD」、「ママのお出かけサポート」のように外国語にも対応したアプリを開発できることも、オープンデータの取組の意義の一つとして評価できよう。
そのほか、本コンテストでは国内に限らず広く海外からの応募もあり、こうした取組に対する反響の大きさを実感できた。「citymapper」は海外ですでに実績があり、今回アジア初となる東京メトロ版のアプリの応募であるという点でも、今回の取組の注目の高さを表していると言える。
アプリ開発を通じてお客様とのコミュニケーションを図ることにより、サービスレベルを革新的に向上させることができるという、オープンデータの可能性を感じられたコンテストであった。
池間 健仁
ココメトロは、東京メトロの時刻表アプリです。
次の発車時刻、到着予定時刻、乗り換え路線の発車予定時刻といった情報が一目で分かるようにしました。 列車がダイヤ通りに動かない場合は、運行情報、前後の列車の位置といった情報がお役に立ちます。ココメトロは乗り換え案内のアプリではありません。
目的地がいつも行く駅、一度行ったことのある駅など、乗るべき路線、乗り換える駅をすでに知っている人のためのアプリです。プラットホームの行先表示板の簡単さを手元で実現することを目指して、機能を絞り込み、起動してすぐに欲しい情報が得られる、そんなアプリを目指しました。
Ahiru Factory
いつもは7時に起きれば学校に間に合うんだけど…。
もしも雨が降っていたら、最寄り駅まで自転車じゃなくて歩いていかなきゃいけない。
もしも地下鉄が遅延していたら、遅刻しちゃうかもしれない。
そんな「もしも」を気にかけてくれる、優しい目覚ましアプリです。
降水量の予測値や東京メトロ各線の運行情報をもとに雨が降りそうだったり、地下鉄が遅延したりしていたらいつもより「ちょっと早めに」起こしてくれます。
株式会社エムティーアイ
『遅延予報』は、これまでに無いダイヤ乱れ時の行動支援アプリです。
「運行見合せのニュース。今、列車は動いている?」「ダイヤ乱れで列車はホームに。振替輸送は使うべき?」「駅まで急いだのに列車は数分遅れ。急がなくて良かった?」よくあるこんなシーンで『遅延予報』は活躍します。
定時性では世界に誇る東京メトロ。それ故、利用者は分単位で乗車計画を立てます。しかし、一旦ダイヤが乱れた際の情報提供には課題が残ります。数分程の僅かな遅れの表示、次に来る列車現在地、目的駅までの所要時間実績など、オープンデータを用い、何より利用者の『ストレスを最小限』にするため本アプリを開発しました。
博報堂アイ・スタジオ
『TOKYOTOKYO』は、東京での2020年オリンピック・パラリンピック開催に向け、海外人旅行者や東京で暮らす人々に新しい東京の体験を提供する、インスタレーションアプリです。『TOKYOTOKYO』のミッションは、「2020年の東京の交通課題を楽しく解決する」ことです。オープンデータの「列車ロケーション情報」を元に、現在走っている東京メトロの総車両数をメインビジュアルとして可視化、オープンデータから現在の東京メトロ各駅単位の混雑情報をヒートマップで可視化、オープンデータと独自のデータを掛け合わせた「レコメンドディープスポット」機能では、メジャーなガイドブックでは得られない、より深く魅力的なスポット情報を発信し、メトロ沿線の郊外まで観光客を誘致する事が出来ます。
「列車ロケーション情報」APIとの連携による、東京が生きているかのような表現や、ディープスポット紹介による、東京のより深い魅力を再発見する機能等の実装により、東京五輪開催に向けて増加する乗客の負荷分散を行いつつも、新しい東京の価値を提供するアプリを目指し、制作しました。
栗山 貴嗣
東京動脈 Flow-in は地下鉄車窓アプリです。
東京メトロ9路線の三次元線路に飛び込んで、列車からの立体地下風景をお楽しみいただけます。普段は見えないトンネルの向こうに思いを馳せてみましょう。
列車位置は東京メトロ オープンデータ API の在線情報を取得することで遅延なども反映され、生きた地下鉄を伝えます。
@mima_ita
地下鉄多言語化MODは、東京メトロがオープンデータとして提供する情報を多言語対応したものです。
駅、路線、時刻表の情報や運行情報などを[Microsoft Translator]によって機械翻訳を行っています。機械翻訳を利用することで、いくつかの言語で運行情報や列車位置情報などのリアルタイム情報を閲覧することができます。
しかし、表示されるメッセージは、適切ではないかもしれません。その場合は、ツイッターのアカウントでログインすることにより、メッセージを自由に修正することができます。なお、翻訳結果はJSONとして取得できるので、同じオープンデータを使った他のアプリで、同等の翻訳ができるものと期待できます。これにより、今回提供されているオープンデータの利用を別の文化圏の人間に促すことができるかもしれません。
gherz(吉岡 猛)
「ママのお出かけサポート」は、東京メトロで小さなお子さんや赤ちゃんを連れてお出かけするママさんをサポートするためのサイト(WEBアプリ)です。
荷物が多く、ベビーカー等で移動の大変なママさんが、東京メトロの駅で少しでも楽に行動できるよう、エレベータやエスカレータに近い車両、出口や改札口の情報、乳幼児用設備付きトイレの情報、そして駅近くでお子さんと一緒に食事や休憩ができる飲食店の情報をわかりやすく提供することを目的としています。スマートフォンで使用することを念頭においていますが、PCでも利用できます。また英語表示ができます。(一部、日本語版と機能に違いあり。)
トムソーヤ
「うちカエル」は、これから帰宅しようとするお父さんが会社から自宅行きの電車に乗ると、家で待つお母さんに自動で「これからうち帰るよ」とメッセージを送るアプリです。
このアプリを使うことで、家で待つお母さんが適切なタイミングでお風呂沸かしや夕食作りをはじめることができるようになり、帰宅するお父さんは「これからうち帰るよ」というメッセージを打つ手間を省けます。 さらに、そのメッセージに返信することで買い出しを頼んだり、夕食の献立を伝えたり、と新たなコミュニケーションの架け橋になります。 また、対象となるのはご夫婦だけではなく、例えば塾に行った子供の帰りを心配するご両親のためのコミュニケーションツールにもなります。
Nobuhito Ibaraki
「東京メトロをより便利に利用できるようにする」をコンセプトに開発したアプリです。
Metronaviでは以下の機能をご利用いただけます。
列車情報: リアルタイムの列車位置や運行情報、各列車の到着予定時刻を提供します。
出口検索: 目的地、現在地の近くの駅出口の検索、そこまでの経路の表示をします。
駅情報: 各駅の駅時刻表、ホーム情報、標準所要時間を提供します。
日向 慧
東京メトロの各路線の電車がいまどこにいるかが分かるアプリです。
トップ画面では全路線の運行状況が表示され、大きな遅延が発生しているかすぐに確認できます。各路線の画面では電車の位置が表示され、選択するとその電車の行き先や到着予定時刻を見たりSNSで共有したりできます。
このアプリを使えば、電光掲示板にはまだ表示されない先の電車の時間や位置を知ることができたり、乗る電車をSNSで送信して受信した側は列車番号からその電車を追跡することで、どこまで近づいているのかを知ることができます。
また、運行状況では平常扱いされている5~15分の遅延も取得できるため、SNSで伝えておけば遅刻しても怒られないかもしれません。
hassaku
Metro Toilet Finderは、東京メトロを日々利用している方々のための、トイレに関する悩みを解決するWebアプリです。朝急いでいる時など、乗車中に急にトイレに行きたくなったりした場合、どの駅で途中下車したら良いか?トイレの数は十分か?途中下車したとき、どれくらい時間をロスしてしまいそうか?等々、様々な心配が頭をよぎります。
そんなとき、本アプリを活用することにより、効率的にトイレ途中下車するための計画を立てることが出来ます。乗車中の路線と次の停車駅、目的地を選択するだけで、停車駅のトイレ情報や、次発以降の発車時刻(ロスタイム)などが一覧で表示されます。急いでいるときの利用を想定した上で、極力不必要なオプションは排し、シンプルな機能を心がけました。また、特徴として、トイレへのチェックイン機能があり、他の利用者が直近にどれくらいトイレを利用しているのかを把握することができます。これにより、トイレが混雑していそうな駅を避けて下車したりすることが可能となります。
MetaPGRS
「東京メトロエレベーター案内」は、あなたを現在地から東京メトロの最寄りエレベーターへ案内します。誰もが使えるようなシンプルなUIを備え、バリアフリーな出入口へ案内する本アプリは、きっとあなたの助けとなるでしょう。
本アプリのコンセプトは「使いやすさの追求」です。誰もが使えるようなシンプルで直観的なUIとなっているため、使い方はとても簡単です。希望の出入口を選択するだけで良いのです。また、画面表示にも様々な工夫を施しており、例えば、路線や駅情報が一目で分かる駅ナンバリングマークをマップ上の出入口の位置へ配置することでわかりやすさを実現しています。
yukiono
東京メトロをより使いやすく。
デザインからアニメーションまで、一貫性のある洗練されたものに。ストレスのない操作性を実現。説明なしでも使いこなせる手軽さ。
"現在地と方角から、今乗っている電車を割り出し、関連情報を表示する"という機能をメインにしようと思い「TrainNow」という名前にしました。
株式会社ビッツ
利用者が、東京メトロのサービスに対しアンケート投票を行う事が出来るWebアプリケーションです。
オープンデータ(列車の在線位置、遅延情報、行先等)を分かりやすく表示するとともに、利用者の素直な声を収集します。利用者は、乗車した列車や利用駅に対しアンケート投票ができ、利用者同士の意見を共有・共感する事ができます。利用者参加型アプリです。
東京メトロは、利用者の投票を確認・分析することで日々のサービス状況を実感できます。
東京メトロと利用者を結ぶ「かけ橋」となるツールを目指しました。2020年オリンピック・パラリンピックに向けて、「より便利でより快適な東京メトロ!」の実現をサポートします。
おこい
メトロ電車に乗って東京の四季を巡りたくなるアプリです。
地下からは見ることのできない四季。
このアプリを使うと外に出なくても東京の四季を感じることができます。
Flickerと連動しリアルタイムに最新の四季画像が見られます。常にその土地の最新の四季画像を見ながらお出かけの予定をたててみてはいかがでしょう。ルート検索ができるので今いる場所から、見たい四季画像の駅まで簡単に調べることができます。
このアプリで、行ったことがない駅にも興味が湧いて行きたくなること間違いなし!!
東京の色んな四季を楽しもう。
Citymapper
Citymapperはロンドン発の乗換案内アプリです。現在ロンドン、パリ、ニューヨークなどヨーロッパ各国とアメリカのいくつかの都市に対応しています。スマートフォンやオープンデータによって複雑な都市を簡素化し、人々がより便利に生活できるようにするのが我々の使命です。
東京は全世界で最も大きく、複雑な都市です。東京の公共通行は特に複雑で、多くの人が毎日道に迷っています。Citymapperが東京メトロのオープンデータ活用コンテストに応募している理由は、東京の人々を少しでも助けたいからです。
ルート案内、電車の出発時間、行き先、種別、または路線の運行情報、遅延などをリアルタイムで表示、アプリからメールやSMSで友達に待ち合わせ場所を送信、送信できる待ち合わせ場所情報には、地図とルート案内が含まれています。アプリは日英両言語で利用が可能です。Citymapperはこのコンテストを通して、東京の複雑さについて様々な発見をしました。新しいアイデアもたくさん出てきたので、アプリを徐々に改善していきたいと思います。将来的により多くのデータが利用可能となることを期待しています。